2012/02/10

優れた小説は、鑑賞してはいけない


村上龍氏の言葉です。
大岡昇平「捉(つか)まるまで」の紹介文と記憶してます。
何故、優れた小説を鑑賞してはいけないのか?
切り抜きが残っていたので、引用してみたいと思います。

『すべての優れた小説はインテリジェンスをモチーフにしている
大岡昇平の「捉まるまで」という短編は、小説に潜むインテリジェンスを
確認する上で絶好のテキストである。
この小説を読むにあたって、「作家が言いたかったことは何か?」などと
考えてはいけない。戦争って何て悲惨なんだろう、と呟いて、納得し、
今は平和でいいなあ、などとのどかに喜んではいけない。
大岡昇平は、「戦争とはどんなものか」を伝えるためにこの短編を
書いていない。読んで、戦争が引き起こすさまざまなことが結果的にわかるが、
読む時に「戦争」を意識してはいけない。
戦争ではなくてもマラリアには患るし、喉は乾く。集団に襲われ、ナイフを
持った人間に追われ、暗がりに逃げ込み、どこかで手に入れた石を握りしめて
暗がりで敵が近づいてくるのを待つという可能性だってある。
大岡昇平は、死がすぐとなりにあるような危機的状況にある一人の人間が
何を感じ、何を考え、どう行動し、その行動を自分でどう判断したかを、
正確に記録している。』

地震の専門家たちが、首都直下型地震の発生確率について
あれこれ論じている報道を見て、この話を思い出しました。

大きな地震は、また必ずくるでしょう。
でも、それが「いつ」「どこで」起きるかはわからない。
地震は怖い。しかし、それを恐れるあまり何事にも消極的になるのは
少し違うと思う。必要なのは、自分と家族をどのように守るかを
普段から考えておくことだと思う。その上で、時間があるときに
いろんな角度からシミュレーションを繰り返し、
必要な物資の準備や、鍛錬をしておくこと。
地震に限らず危機的状況に備えること。本を読むことも備えのひとつだと思う。
自分より弱い存在を守ることも男の務めだと思います。男は強くありたいですね。
なーんて。






2 件のコメント:

  1. TAROさんこんばんは

    本ネタ嬉しいです!
    おっしゃるとおり危機に備える。。誰かを守るスキルは現代人に必要なものですね
    良くも悪くもそんな時代になっちゃいました
    大岡昇平は優れた戦争文学を書いていますが、危機のどまんなかにいても冷静に観察して分析して記述できた人なんでしょう
    大岡氏のようにはいきませんが、私も自分にできることを今年はやろうと思います

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    1. snoozerさん

      こんばんは。
      コメントありがとうございます。
      返信が遅くなってすいません。

      父性が成立しにくい時代ですが、
      いざという時に頼りになる存在でありたい
      ですよね…。

      恥ずかしながら、10代終りの一時期
      マチズモに傾倒した時期がありまして、
      (ボディビルとかじゃないですよ)
      不安定な今の時期に、そのことを思い出したり
      して、チャンドラーや、ロバート•B•パーカーを読み返しております。

      「ハードボイルド」は死語ですが(笑)
      自律した男たちの姿は、何か心に訴えかけて
      くるものがあるんですよね…。
      ロバート•B•パーカーの「初秋」は、誰にでも
      勧めたくなる一冊です。

      コメントが大分横道にそれましたが、
      自分自身に変化を加えるのは、
      勇気がいるし、また素敵なことだと思います。
      是非、頑張ってください!

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